本記事は追記更新を行っております。
- 投稿:2020年5月23日
- 追記修正(10回目):2021年5月20日
――――――――――――――――――
2021年2月11日、フジワイファイ契約者に向けて「X社回線停波」の案内がされました。
また、2021年2月から3月にかけてクラウドSIMWiFiルーターサービスの一部においても月額料金の値上げがあったことから、X社SIMの卸値などの変更が出てきている可能性があります。
加えて、フジワイファイに対してX社がデータ通信量の著しい値上げを通達したことから、フジワイファイがX社に対しての抗議文が送達される事態となっています。
これに端を発し、2021年もX社SIMカードの規約変更が行われることが発覚し、同SIMカードを扱う各社からの報告が続いています。
発表日 | サービス名 | 内容 |
2021年2月 →4月1日に値上げを行わないと回答 |
フジワイファイ | パケット上限引き下げ |
2021年3月11日 | ギガトラWiFi | パケット上限引き下げ |
2021年3月21日 | モナWiFi | パケット上限引き下げ |
2021年3月24日 | ChatWiFi | パケット上限引き下げ |
2021年4月23日 | NomadSIM | パケット上限引き下げ |
また、2021年4月20日発表のどこよりもWIFIの新プランでは、X社SIMからドコモ回線にすべて切り替わり、クラウドSIMの仕組みを採用しないなど「脱X社SIM」の流れが見られつつあります。
当サイトコンテンツではX社SIMカードの動向について追ってきました。
- X社SIMカードは停止していない?「学生に50GB支援」からみる国内データトラフィックの内情
- Youtubeが全世界で標準画質に絞るというトピックスからみるX社回線の危うさ
- どんなときもwifi以外のクラウドSIMサービスへの影響は…?X社SIMカード供給停止を受けて
- X社マルチUSIM(F)カード供給停止か?新型コロナウィルスによるトラフィック増大の影響で
- ネクストモバイルパケット無制限プラン受付終了…X社回線に何かが起こっている…?
本記事では公式発表ではなく、第三者サイトの記事や、サービス停止事実に基づいて、X社SIMについて管理人の私見を述べたいと思います。
【お知らせ】2022年7月1日の改正電気事業通信法施行に伴い、掲載サービスの料金プランが大きく変更されている場合があります。随時修正を行なっておりますが、最新のプランについては公式サイトをご参照くださいますようお願いいたします。
再度動き始めた「X社SIMカード」問題
2020年3月にX社SIMカードの卸値変更があってから約1年、再度見直しがあったようです。
それに伴い、フジワイファイ、ギガトラWiFiでサービス継続が困難な旨が公式サイトから発表されています。
フジワイファイ、X社SIMについて「停波」のアナウンスからX社へ抗議文送達の事態に発展
2021年2月11日、フジワイファイについてツイッターでの投稿が目立ち始めました。
SIM 100コース
こんなメールきましたよ
最近重いんだよなぁ…
光にしようかなぁ😔#FUJIWifi#フジワイファイ pic.twitter.com/At6TK5vttk— 裁判傍聴ひとりごと (@CBUx7zzpehFO3Im) February 11, 2021
また、公式サイト上でも一部X社回線を使用したプランの終了が案内されています。
上記メールは100GB/200GB上限のX社回線を使用したフジワイファイサービス契約者に送られている様子ですが、一部契約者にはまだ案内されていないようです。
<新規受付停止>
- ルーター30ギガプラン(X社回線)
- ルーター50ギガプラン(X社回線)
2021年3月15日新規受付終了
<回線停止でSIMカードの交換>
- X社SIM100GB
- X社SIM200GB
2021年3月1日0時から停波
フジワイファイ側に問い合わせをしたユーザーに関しては、交換後も同様にX社回線になるとのことです。
Fuji WifiのSoftBank回線が使えなくなると思って問い合わせをしたら違うSoftbank回線になること。しかし、具体的に何が変わるかは教えてくれない。Fuji wifiはもしかしたらグレーゾーンの契約だったのかもしれない#Fujiwifi https://t.co/AHUx1mlmR2 pic.twitter.com/naQMaAi9qy
— Hiro@ (@HKK_note) February 11, 2021
可能性として考えられるのは、法人専用回線契約だったX社SIMカードを個人にも貸与してしまっていた可能性です。
交換される回線もX社回線ということであれば、フジワイファイがすべてのX社回線契約が打ち切りになるわけではない可能性があります。
フジワイファイ、法人専用の回線を個人貸与か?
FUJI WiFiのSoftBank回線提供打ち切り、既存契約まで剥がされるのか。おそらく、法人向け回線をSoftBankの規約に反して再販提供してたのがバレちゃったんだろうなぁ
— riron博士 @Androidアプリ開発中 (@rironriron) February 11, 2021
X社SIMカードには、個人に貸与できるものと、法人のみにしか貸与してはいけないものが存在するようです。
Transfone WiFiというサービスの申し込み情報を見るとX社の正規回線を使用しており、法人専用の申し込みと案内されています。
100GB/200GB プランの契約者において、停波メールが案内されている人とそうでない人が混在しているため、一部ユーザーに対して法人専用契約のSIMカードが渡ってしまっていた可能性があり、これをソX社側が問題視したものと考えています。
各社がX社に対して抗議文を送達
フジワイファイは下記文面を公式サイト上に掲載、2021年3月1日付けで抗議文を送達したとしています。(一部改変)
レグルス会員・FUJIWifiユーザーの皆様へ
平素はFUJI Wifiをご利用いただきまして、誠にありがとうございます。
2021年2月17日、X社(以下、同社とする)から2021年5月よりデータ通信料の値上げ要請がありました。
これらの価格提示はFUJI WiFiユーザー様への現在のサービス価格を著しく上回る内容となっており、このままでは同条件でのサービス維持は困難となることが予想されます 。同社の弊社に対する要請は、優越的立場の濫用であり、弊社ユーザー様へのサービス維持のためにも到底受け入れがたいものです。
弊社といたしましては、弊社FUJI WiFiサービス継続のため、弊社顧問弁護士より抗議を行っております。
引き続き、同社へ合理性に乏しいと思われる強硬的な値上げへの抗議を続けるとともに、FUJIWifiユーザー様へのご利用環境を継続するため、監督官庁へも申告し、是正を求めて対応していく所存でございます。ー中略ー
上記の経緯からも、弊社の保有する回線全てのサービスを事実上排除したいという意向を同社が有していると考えざるをえません。
繰り返しになりますが、弊社としてはFUJI WiFiサービス継続のため、力を尽くす所存ですので、何卒ご理解ご支援のほどよろしくお願いいたします。なお、一部のユーザー様から、消費者としても意見を述べたい旨の申出をいただきましたため、以下に関係機関の連絡先を記載させていただきます。
「お客様のお声が、お客様が期待するサービス提供の実現に繋がります。」
◎消費者庁
電話 03-3507-8800◎消費者ホットライン
電話(携帯電話より) 188
※お近くの消費生活相談窓口に繋がります。◎消費者庁ご意見投稿フォーム
https://form.caa.go.jp/input.php?select=0001
※上記フォームは「消費者庁ウェブサイトについてのご意見・ご感想」とございますが、お電話でのご相談が困難な場合の総合的なご意見を受け付ける投稿フォームとなっております。
またモナWiFiも同様にX社に対して抗議文を送達しています。
このようにX社SIMカード値上げ要請は到底受け入れがたいもので、サービス継続の危機に瀕していることがうかがい知れます。
消費者庁への抗議文を送るよう促すともとれる文面からもフジワイファイが非常に厳しい立場に置かれていることがわかります。
2021年4月1日には株式会社レグルスがフジワイファイ公式サイトにてX社から抗議文の回答があったことを発表、「当面の間値上げは行わない」ことが決定しましたが、値上げについては撤回されていないとして抗議を続ける構えを見せています。
ギガトラWiFi、ChatWiFi、NomadSIM、契約者向けに「WiFi業界全体にデータ通信量の規制がかかる」ことを告知
悲報
ギガトラWiFi 死す pic.twitter.com/EqXNXNGdAR— おとーふ (@otofu_kusonemi) March 10, 2021
ギガトラWiFとChatWiFiiは契約者向けに「データ通信量の規制はWiFi業界全体に一律規制が入る」旨を通達しました。
どこよりもWIFI新プランでX社SIMが不採用に
2021年4月20日に発表されたどこよりもWiFiの新プランでは、5月から値上げがあることを暗に示すかのようにすべてのプランをドコモMVNO回線に切り替え、X社回線を不採用としました。
この事実から見ても、やはりX社がX社SIMカードを締め出す方向なのが窺い知れます。
パケット上限の変更が通達された事業者一覧
100GB→50GBなど、パケット上限の変更が通達された事業者は下記の通りです。
発表日 | サービス名 | 内容 |
2021年2月 4月1日に値上げを行わないと回答 |
フジワイファイ | パケット上限引き下げ |
2021年3月11日 | ギガトラWiFi | パケット上限引き下げ |
2021年3月21日 | モナWiFi | パケット上限引き下げ |
2021年3月24日 | ChatWiFi | パケット上限引き下げ |
2021年4月23日 | NomadSIM | パケット上限引き下げ |
X社SIM、2021年3月から卸値条件の変更か?
フジワイファイの新規申込が停止するルーター付き30GB/50GBプランだけでなく、2021年2月から値上げしたX社回線を使ったサービスが存在します。
<値上げしたサービス>
- MUGEN WiFi|月額3,355円(税込)→3,718円(税込)
- どこよりもWiFi |月額3,388円(税込)→3,718円(税込)
- それがだいじWi-Fi|月額3,575円(税込)→3,718円(税込)
※クラウドSIMの仕組みを用いたモバイルWiFiルーターサービスの多くはX社SIMを用いていると考えられます。
フジワイファイの件や、今回のクラウドSIMWiFiルーターの値上げを、ギガトラWiFi・モナWiFiでのパケット上限引き下げの件を考えると、X社もしくは卸売業者との間で何かしらの条件変更があったのは確かでしょう。
値上げについては、フジワイファイの公式サイトにより明言され、これを「到底受け入れられない」とする抗議文が出される事態となっています。
一部X社SIMカードを使用したサービスでは規約変更がないケースも
ただし、運営状況によってはこの変更を受けないケースも存在します。
モナWiFiの「クラウドSIMプラン」に関してはこの影響を2021年3月22日時点では受けません。
変わらず月額5,148円(税込)で10GB/日の利用が可能です。
※当サイトとモナWiFiの提携により下記記事のクーポンコードを使用すると特別割引あり
詳細については言及いたしませんが、クラウドSIMの仕組みを用いたサービスに関しても影響を受けるサービスとそうでないサービスが混在すると見られます。
「規制対象が個人向け貸与の月間100GB以上通信できるX社SIMカード」という見方をすると、クラウドサーバー上に挿入されたSIMカードはおそらくは法人契約となっていることから、規制対象となっていない可能性があります。
モナWiFiの通信障害発生原因はX社SIMカードの契約更新が出来なかったためか
2021年5月17日以降、月間100GB上限のモナSIMの多くが通信障害となりました。
この通信障害は3月時点で「規制対象にならなかった」SIMカードと見られます。
交換対応となっていますが、交換後のSIMカードは1日のパケット上限が設定されているかのような挙動を見せたり、解約したのにSIMカードが届いたりと、混乱した様相を呈しているようです。
2020年3月のX社SIM条件変更による影響
2020年3月にも恐らくX社回線を使用したサービスの変更が相次いだことも考えると、X社サービスは恐らくは決算を控えた3月に卸値価格の見直しや変更があるものと思われます。
2020年3月以降、これに端を発してどんなときもWIFIや限界突破wifiが大規模な通信障害に陥り、その他パケット無制限を謳うサービスは新規受付を停止、2020年8月以降パケット上限を設けて再スタートしています。
同様にフジワイファイをはじめ、他X社SIMカードのレンタルサービスについても価格変更を余儀なくされました。
「神SIM」などはサービスを終了しています。
2021年5月以降、サービスの存続が危ぶまれるWiFiルーターサービス
現在日本国内に出回っているモバイルWiFiルーターの多くは、WiMAXかX社SIMカードを用いたものとなっています。
特にクラウドSIMWiFiルーターに関しては、「トリプルキャリア対応」としているものの、実際にはX社回線につながることが非常に多いと言われており、サーバー上に挿入されているSIMカードの大半はおそらくはX社(もしくは卸売り事業者)から仕入れたX社SIMカードの可能性が非常に高いです。
上記の理由により、クラウドSIM系サービスは規制を免れても、X社SIMカードを用いたサービスは規約変更を余儀なくされる可能性が高いでしょう。
現時点では、4月8日から提供される「WiMAX+5G」が安心できて且つ大容量通信ができるモバイルWi-Fiルーターとなるのは間違いなさそうです。
ワイマックスの弱点として「遮蔽物に弱い回線=Band41(2.5GHz帯)」がメインとなってたため建物の中では繋がりにくいことがありましたが、今回の「WiMAX+5G」へのアップグレードを図ることでBand41よりも繋がりやすいBand1=2GHz帯/Band3=1.7GHz帯が使用できるようになることで、窓辺に本体を置かなくても「6時〜18時までは本当の意味でパケット無制限」を実現できる可能性があります。
発売日は4月8日となっており、まずは先行してUQWiMAXでリリース、その後BIGLOBE WiMAX +5GやGMOとくとくBB で順次リリースされていくことと思われます。
【公式】UQWiMAX
そもそもX社SIMとは何なのか?
そもそもX社SIMとは何なのでしょうか。
筆者もその契約者の一人ですが、数多くのX社SIMを契約してきてわかったのは、X社SIM=マルチUSIM(F)というカードだということです。
通常のX社SIMカードであればそのSIMカードが他の端末で使用できないように、端末の製造番号(IMEI番号)以外で使えないように紐づけされています。
X社のandroidスマートフォンを購入して、そのSIMカードを他のSIMフリースマホで使おうと思っても使えないのはこのIMEIロックがかかっているためです。
この場合(Android SIMをSIMフリーで使いたい場合)はX社ショップでSIM変更(交換手数料3000円)の手続きをすることでマルチUSIM(F)カードに変更してもらうことが出来ます。
マルチUSIMカードは
- スマートログイン設定ができない
- Yahoo!プレミアム無料・Yahoo!ショッピングポイント1特典が付かない
- おうち割 光セットの割引が付かない
というデメリットがあります。
キャリア回線をそのまま使えるなんて言うことが実際にあるのか…?
自社で通信網を持っている回線事業者をMNO,それらから回線を借りてサービスを提供している事業者をMVNOといいます。
X社SIMカードは、X社回線をそのまま使えるため、MVNOに見られがちな混雑時の回線速度低下が少ないとのことです。
要するに、WiMAX同様にX社側が「単純再販型」という形で他業者に提供しているものは「X社SIMカード」であり、キャリア生回線を使用できる代わりにそのサービス内容についてはキャリアのサービスに帰属します。
再販売ということは仕入れ業者と販売御者が存在する
これら再販売型のSIMを販売している事業者のサイトをみても「X社正規代理店」等の記述は見当たりません。
UQWiMAXであれば、UQコミュニケーションズ株式会社の代理店であることが明記されています。(サイト上にUQWiMAXロゴがある)
株式会社グッドラックは、先の行政指導を受けて、X社SIMカードの仕入れ先を「兼松コミュニケーションズ」ということを公表しました。
ここから仕入れることで、再々販売をしているという仕組みになっています。
LINEMO/メリハリ無制限リリースによるX社サービスは終了するか
恐らく今回のX社による「X社SIMカード排除」の動きの背景には自社が3月17日にリリースする新サブブランド「LINEMO 」オンライン専用プランのリリースと、X社が開始するパケット無制限プラン「メリハリ無制限4G/5G」があると考えています。
LINEMOに関しては、月額2,480円/月間20GB上限ということに加えて、LINE全般サービスのパケットカウントフリー(一部を除く)となっており、同様価格帯で販売しているX社SIMサービスに関しては、LINEMOの競合となり得ます。
また、X社のパケット無制限プランに関しては非常に多くの帯域が使用される見込みです。
X社回線をそのまま使えて且つ、大容量通信が安価にできることで人気を集めていたX社SIMサービスですが、これらリリースを受けて自社サービスの通信帯域確保のため終了することが懸念されます。
企業とすれば自社卸サービスが自社よりも安価となっており、自社サービスの優位性が保てないのであれば終了しても致し方ないと思います。
やはり何かに依存するサービスは提供元に従う以外に方法はないようです。
いよいよX社SIMカードも終了でしょうか…時代が動き始めている気がしてなりません。
X社SIMカードを使用している方に関しては、そろそろ乗り換え先を検討した方がいいかもしれません。
当サイトでは引き続きX社SIMの動向について調査していきます。