乗り換えを促すカンフル剤には…ならない?|消費者庁、アクションプランに伴う携帯料金プラン・乗り換えに関するPDFを公開
消費者庁は2020年12月8日、同サイト内で「自分に合った携帯料金プランになっていますか」というコンテンツを追加しました。
サイト内ではPDFリンクが設置されており、タップすると携帯電話に関する乗り換えに関する注意事項が掲載されています。
自分に合った携帯料金プランになっていますか?[PDF:226KB]
これで本当に乗り換えが促進されるのか?
総務省のアクションプランでは、携帯電話乗り換え障壁の撤廃を目的に策定され、その中で乗り換えがしやすいようなコンテンツを作成・公開するということになっています。
PDFの内容を見るとA4サイズ用紙2枚程度の非常に簡素な内容になっています。
見出しは3つとなっており下記のような内容になっています。
自分の利用状況を確認すること|総務省データでは月間20GB以上のデータ通信を利用している人が全体の10%となっている一方で、月間20GB以上のプランに加入している人が40%となっている=自分の利用状況に応じたプランが選択できておらずもったいないという趣旨
乗り換えても通信状況・電話番号は変わらない|MNPの活用、それに伴う手数料が発生する可能性、メールアドレスが取得できない可能性、メインブランドとサブブランドでは通信可能エリアに相違はないという趣旨
乗り換えにかかる手間と手数料の案内|初期設定(SIMカード交換を含む)や手数料(違約金・転入転出手数料・新規契約手数料など)が記載
また別紙で通信量の目安や料金目安が記載されています。
「まさに役所が作った文面」といった感じが否めず、これで携帯電話会社の乗り換えが促進されるかどうかについては疑問です。
表現に疑問あり|やはりキャリア優遇感が否めない
同PDF内に「格安SIM」というワードがあるものの大半は大手3キャリアとサブブランドについての内容がほとんどです。
また、
「同⼀事業者のメインブランドとサブブランドでは通信可能エリアなどに違いはありません。」
とありますが、これに関してはMVNOでも同様です。
肝心な通信速度については触れられていません。
「ドコモ対抗プラン」ということで、ドコモから通信回線を借用しているMVNO事業者である日本通信が1,980円/20GB(開始時は月間16GB)のプランを打ち出して話題となりましたが、決してキャリア同等の通信速度が保証できるわけではありません。
MVNOは通信帯域を支払う金額の分だけ借用しているものと思われ、混雑時間帯などユーザートラフィックが多くなると速度低下する傾向があります。
参考:格安スマホ豆知識|MVNOの種類と違いについて解説!サブブランド、フルMVNO、ライトMVNO…何が違うの?
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参考:「第4の勢力」となるか?エキサイトモバイルWiFiがWiMAX・クラウドSIMと並んで注目される理由
アクションプランにおいてはMVNOがキャリアに支払う回線使用料を3年間で5割減を掲げていますが、キャリア本体が値下げしてしまっている以上、通信速度でアドバンテージが持てず料金もキャリアとそれほど変わらないとなればMVNOの経営は壊滅的となるでしょう。
経営体力がない企業に関しては衰退していく恐れがあります。
総務省は発言をコントロールすべき
ドコモ本体価格の値下げとなった背景はやはり先の大臣会見を受けてでしょう。
明らかにドコモはサブブランドで発表するはずであったと思われる新料金プランをあくまでも「料金プラン」として出してきたのは、半官製企業となってしまったが故の苦肉の策ととらえています。
現在の「広告塔」の発言には、一般ユーザーの評判は上がりそうですが、関係各所に至っては悲痛な叫びが聞こえてきそうです。
長期的な目線で見ると現在の総務省の方針では、キャリア寡占に逆戻りとなる懸念があります。
今一度、まずは内部で発言のコントロールをして、目指すべきものを統一さえる必要があるのではないでしょうか。
Author:Ryosuke Kawamura(GreenEchoesStudio代表)