
「格安スマホ」という言葉が世の中に出始めてからしばらく経ち、みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
ただし、「ドコモやauよりも安いスマホメーカー」という認識以上は知らない方も多いと思います。
本記事では格安スマホ(MVNO)についての基礎知識を解説していきます。
目次(見たい項目をタップ)
格安スマホ=格安SIMとはいったい何か?

格安スマホ(格安SIM)とは簡単に言うと、自社で通信回線を持たない通信事業社が大手キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)から回線を借用することでサービスを提供している通信事業者のことを指します。
キャリアはMNOと呼ばれるのに対して、格安スマホ(格安SIM)はMVNOと呼ばれます。
MVNO=Mobile Virtual Network Operator
仮想移動体通信事業者の略称。自社で通信網を持たずキャリアから回線を借用してサービスを提供する事業者のこと
MNO=Mobile Network Operator
移動体通信事業者の略称。自社で通信網を持つ通信事業者を指す。
一般的に言われている
格安スマホ|格安SIM というのは俗称です。
要するに「ドコモ・au・ソフトバンクのスマホに比べると割安(=格安)」「ドコモ・au・ソフトバンクに比べると格安なSIMカードを使って通信している」ということでしょう。
※SIMカードとは通信に使用するデータチップです。

格安スマホは決して「本体価格が安いスマートフォンではない」ということは誤解のないようにしましょう。
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格安スマホの種別
格安スマホとは「キャリアの電波を借用してユーザーに提供いている通信事業者の総称」ということがわかりました。
格安スマホには大きく分けて3つの種類が存在します。

- サブブランド
- フルMVNO
- ライトMVNO
※フルMVNOは個人向けに展開しているIIJ、OCNモバイルONE以外にも法人向けに提供しているソラコム、さくらインターネット、丸紅ネットワークソリューションズ株式会社が存在し、2020年9月時点で5社存在します。
※実際にはレイヤー2接続など、データ通信ネットワーク設備の持ち方に着目する分類方法がオーソドックスですが、非常に難解のため簡便的な種別分けとしています。当コンテンツではすべてMVNO=レイヤー2接続ということで紹介します。
参考:ITMedia(著者:インターネットイニシアティブ(IIJ) ネットワーク本部 技術企画室 担当課長佐々木 太志様)
MVNOとは
MVNOは「キャリア=MNOから通信網を借用してユーザーに通信を提供するサービス」です。
キャリアの通信網をそのまま販売する「単純再販型」とは違い、MVNO側でユーザーの通信量の把握や通信速度を制御できるのが特徴です。
よって、多くのキャリアが行っているユーザー管理機能が自社で行えます。
フルMVNOとライトMVNOの違い
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画像引用:ITMedia
フルMVNOとは、上記のMVNOの特徴に加えて、自社でSIMカードの発行までできるようになったMVNOのことを指します。
通常のMVNO=ライトMVNOであればユーザー情報の管理は自社で行うことができますが、SIMカードの発行だけはキャリアが行う必要があります。
この点フルMVNOでは、独自のSIMカードの発行(eSIMなど)が可能となっています。
現在の日本ではIIJ=インターネットイニシアティブとONEモバイルONE(2020年8月27日~)がフルMVNOとなっています。


サブブランドとは

サブブランドとして日本国内にあるのはワイモバイルとUQモバイルです。
ワイモバイルの母体はソフトバンク、UQモバイルの母体はauです。
「回線を借用している」という意味合いではMVNOと変わりありませんが、キャリア=MNOが運営しているブランドということで「サブブランド」と呼ばれます。
この2社に関してはそれぞれ母体の回線を使用しており、他MVNOと比べると通信速度が速いのは事実です。
一見して癒着しているようなイメージを受けますが、回線速度が速いのはそれだけキャリアから借用している通信帯域(=ユーザーが一度に使える通信の幅のようなもの)が大きいだけで、それだけの使用料金を払っているからにほかなりません。
帯域の借用金額については「すべてのMVNOに対して同じ条件でネットワークを貸し出している」ため、他社と比べた優位性はありません。
要するに企業体力が大きい分、それだけ広い帯域を借用できるということです。


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格安スマホのシェア割合
実査に格安スマホがどれくらい利用されているかを調べたデータが下記になります。

引用:MMD研究所
MMD研究所の調査によると2020年3月時点での格安スマホの利用率は20.3%(名目上サブブランドであるワイモバイルを含む)となっています。
現時点ではまだまだキャリアスマホを使っている人の方が多いということになります。
2019年3月の調査(17.5%)に比べると2.8ポイントしか増加していないことを見ると、あまり格安スマホへの乗り換えは進んでいないように思います。
その理由としては下記が挙げられます。
- 番号そのままでの乗り換え手続きが面倒
- 機種変更の手間がある
- キャリアメールが使えなくなる
残念ながら現時点では、ある程度乗り換えに対する知識を身につけた方でないと格安スマホへの乗り換えは難しいかもしれません。
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番号そのまま乗り換え手続き(MNP)が面倒

現在の日本の「番号そのまま乗り換え=MNP手続き」はちょっとわかりにくいです。
上記図のようにまずは契約先に「転出番号(予約番号)」の発行をしてもらい、発行から14日以内にその番号をもって乗り換え先に通知する必要があります。
番号をもって他社に乗り換える際には「転出手数料=約2,000円~3,000円程度」をもともと利用していた通信事業者に支払う必要があり、乗り換え先の通信事業者にも「転入手数料=約3,000円程度」を支払う必要があります。
最近ではこの一連の手続きや手数料を撤廃する動きが総務省から出ています。
携帯乗り換え手数料を無料に ネット手続き、値下げ促す 総務省
この手続きを理解していない人が多く、「番号が引き継げなかったらどうしよう…」と考える人が多いようです。
加えて、勇気を出して転出を申し出てもキャリアの引き留めや自社サブブランド(auならUQモバイル、ソフトバンクならワイモバイル)への乗り換えをあっせんされて希望する格安SIMへの乗り換えが進まない現状もあります。

機種変更の手間がかかる

通信事業者を乗り換えた場合、そのまま今使っているスマホを引き続き使う方法があります。
それに関してはキャリアで購入した端末であれば「SIMロックの解除」が必要になります。

キャリアで購入したスマートフォンはほかの通信事業者では使えないように「本体にロック」がかかっています。
総務省では即日のSIMロック解除を義務付け、ドコモではこの解除条件の緩和を行いましたが他キャリアはまだ対応しているとは言い切れません。

また、乗り換えを機に機種変更を行う場合でも、キャリアであれば手厚くデータ引継ぎ方法を案内してくれますが、そうでない場合、基本的には個人の責任で自分で行う必要があります。
- iPhone→iPhone
- iPhone→android
- android→iPhone
- android→android
- そのほか
という風にケースごとに引継ぎ方法が異なるというのもハードルを上げていると思われます。

キャリアメールが使えなくなる

キャリメールとは「○○@docomo.ne.jp」といった、キャリアで契約するときに貸与されるキャリア独自のメールアドレスのことを言います。
当然、乗り換えてしまえばこれらのメールアドレスは使用できなくなります。
一番これで困ってしまうのはクレジットカードや銀行口座の登録にキャリアメールアドレスを使用していた場合です。
携帯電話会社を乗り換える前にフリーメールに変更しないと、手続きが行えなくなる可能性があります。

まとめ|乗り換えで通信費をもっとお得に
総裁選に出馬を表明された菅官房長官は日本国内キャリアの通信費が諸外国に比べて高額ということをかねてから指摘しており、首相となった暁にはより一層のメスが入ることが期待されます。
通信費を節約するにはこのコンテンツで解説してきた最低限の知識が必要です。
一緒に学んであなたの通信費も節約しましょう。



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