当サイト「GreenWaves」ではモバイルWiFiの最新動向について調査しています。
本記事では2020年下半期(6月~12月)に起きた出来事をまとめて、最新のモバイルWiFiルーター、ポケット型WiFiルーターの動向を報告します。
上半期振り返りはこちら
【お知らせ】2022年7月1日の改正電気事業通信法施行に伴い、掲載サービスの料金プランが大きく変更されている場合があります。随時修正を行なっておりますが、最新のプランについては公式サイトをご参照くださいますようお願いいたします。
2020年下半期(6月~12月)のモバイルWiFi界隈の動きまとめ
時系列にまとめていきます。
2020年6月
- クラウドSIMWiFiルーター提供各社で最新端末「GlocalMe U3」が採用され始める。同時接続数が10台に増えて人気を博す。
- 株式会社グッドラック「どんなときもWIFI」に行政指導が入る(6月19日)
- どんなときもWIFI行政指導の中でパケット無制限提供について総務省から他事業者に対しての是正勧告が出る
2020年7月
- パケット無制限是正勧告を受けて「株式会社hi-ho」がいち早く対応を発表
- 株式会社グッドラックが行政指導に対する結果報告を発表
- それがだいじWiFi、月間150GB→100GB保証へ引き下げ
- THEWiFi、通信速度低下及び商品出荷遅延に関する重要なお知らせ第三次報告」発表(7月22日)
- ZEUSWiFi、パケット無制限プラン受付停止(7月25日)
- ポケット型モバイルCloud、新規受付終了を発表(7月28日)
2020年8月
2020年9月
- Mugenwifiからパケット上限100GBの新プランリリース(9月7日)
- Ex Wi-Fiが既存パケット上限ありプランの価格を改定(9月9日)
- モナWiFiから月間上限300GBの大容量プランリリース(9月10日)
- めっちゃwifiとhy-fiがサービス終了
- 限界突破wifi、WEBでの新規受付を開始(9月14日)
- エキサイトモバイルWiFiが10/1から提供開始を発表(9月14日)
- Chat WiFi月間上限200GBの新プランをリリース(9月17日)
2020年10月
- フジワイファイが10GB・5GB/日上限の新プランをリリース(10月1日)
- NC Wi-Fiでキャッシュバックキャンペーンを開始(10月1日)
- hi-ho Let’s Wi-Fiに4GB/日の新プラン登場(10月2日)
- どこよりもWiFiから月間上限200GBプランが発表されるも白紙に(10月6日)
- パイオニアから車内のみパケット無制限となるサービス発表(10月8日)
- ZEUSWiFiからパケット上限ありの新プランスタート(10月13日)
- 新サービスステイホームWiFiがリリース(10月15日)
- それがだいじWiFiが「ビューン読み放題」サービス特典を付与、キャンペーンワード割引を追加(10月15日)
- どこよりもWiFiでGoogleHomeMiniプレゼントキャンペーンを開始(10月23日)
- 新サービスMonster Mobile受付開始(10月29日)
- どんなときもWIFI、パケット無制限サービス終了(10月31日)
2020年11月
2020年12月
- どこよりもWiFi、縛りなし月間100GBプランを新設(12月1日)
- フジワイファイ、100ギガPlusプランを新設(12月1日)
- Mugenwifi、各種オプションを追加(12月1日)
- NTTドコモから新プラン「アハモ」登場。価格破壊からモバイルWiFiルーター業界に影響必須価格破壊からモバイルWiFiルーター業界に影響必須(12月3日)
- ぴたっとWifiが月間100GB上限のプランを2021年1月31日までの限定申込で2,900円で提供開始
- CHATWiFiが価格据え置きで月間パケット上限を100GBから90GBで引き下げ(12月9日)
- どこよりもWiFi、縛り期間あり月間100GBプランを3,180円→3,080円へ引き下げ(12月14日)
- MugenWiFiが縛り期間あり月間100GBプランを3,150円→3,050円へ引き下げ(12月17日)
- どこよりもWiFiが月間200GB上限のプランを発表(12月17日)
- どこよりもWiFiのパケット無制限プランが月間200GB程度に制限か(12月20日)
- hi-ho Let’s Wi-Fiが「鬼コスパキャンペーン」を開始(12月21日)
- ソフトバンクがahamo対抗プラン「SOFTBANK on LINE」を月額2,980円/月間20GB/通話5分間無料/LINEサービス無料 を発表(12月22日)
2020年下半期モバイルWiFi界隈の総括
2020年下半期は、どんなときもWIFIへの行政指導の衝撃からはじまりましたね。
2020年3月に起きた通信障害の対応に対して、総務省が指導を行った結果、他モバイルWiFiルーターサービスを「パケット上限なし」で提供していた事業者はプラン変更を余儀なくされ、概ね月間上限100GBで落ち着きました。
10月31日にどんなときもWIFIが終了することを見込んで、各社乗り換え需要に預かろうと様々な趣向を凝らした付加価値をつけて自社サービスの宣伝を行いました。
おおよその乗り換えが落ち着くと、モバイルWiFiルーター業界の申込件数は右肩下がりへ。
月間上限100GB程度のユーザーへサービスがいきわたった状態となり、新規顧客獲得に向けて「低容量プラン」「縛りなしプラン」を打ち出してきました。
GreenWavesとしての取り組み
下半期はどんなときもWIFIが停止、終了するのを受けて、より安心できるサービスを見てくださるかたに紹介できるよう下記2点を重点的に取り組みました。
- 各サービスの実測値を測定
- カスタム検索サービスの導入
各サービスの実測値を測定
当事業では、メーカーに依頼もしくは自身でサービスを契約することで実端末を用意し、同一拠点において24時間10分おきに7日間の速度計測を行いました。
やはり同一回線を用いたサービス(例えばX社回線など)では差異が見られない可能性が高い(回線提供元が速度コントロールを行うため)のですが、クラウドSIMの仕組みを用いたサービスでは、サービス提供者側で速度などを自由に制限することが可能です。
これによってサービスによって通信速度に差が生じることがわかりました。
当サイトでは実際に快適な速度で通信ができないサービスについてはおすすめいたしません。
カスタム検索サービスの導入
パケット無制限サービスが終了した後も、雨後の筍のように…とまでは言いませんが、次々とサービスが出てきました。
流石にこれらサービスを利用検討する人がすべてご覧になって一番いいものを選ぶというのは不可能に近いです。
ですので、ご希望条件に応じて探せる仕組みを作りました。
それが「カスタム検索」です。
各種条件を指定することで最もニーズに見合ったサービスを見つけることができます。
2021年のモバイルWiFiルーター業界の予想
最近の動向を踏まえて予想していきます。
月間20GB以上の使用率は11.3%
総務省発表によると、スマホ大手4社のうち、月間20GB以上のパケットを使用するユーザーは全体の11.3%にとどまることが発表されました。
月間2GB未満のパケット利用料ユーザーは全体の約5割となり、ほとんどのユーザーがそれほどパケットを使っていないという結果になりました。
ただし、この結果に関しては「仕方なく」月間2GB未満になっているという可能性があります。
キャリア各社の2GB目安のプランと大容量プラン、通話定額料金を見てみます。
ドコモ | au | ソフトバンク | |
大容量プラン | 6,980円 | 7,650円 | 8,480円 |
最低パケットプラン | 2,980円 | 3,150円 | 3980円 |
2GB使用する際の 目安プラン |
3,980円 | 4150円 | 5980円 |
※わかりやすくするために各種割引は適用していません。
※掲載値は2年縛りのプランの場合です。
ドコモ | au | ソフトバンク | |
通話かけ放題 | 1,700円 | 1,700円 | 1800円 |
通話5分無料 | 700円 | 500円 | 800円 |
このように純粋な料金としては非常に高額となっており、「我慢して使っている可能性」も考えられます。
各社低容量プランを用意する可能性があるが雲行きは怪しい
現在の総務省の動きを見ると、市場流動性を上げるために乗り換えに伴うハードルの引き下げを検討しています。
具体的には
- キャリアメールを解約後でも使用できるようにする
- 乗り換えに伴う違約金を撤廃
- 乗り換えに伴う転入転出手数料を撤廃
- eSIM普及で物理SIMカードの入れ替えやAPN設定を簡素化
などが挙げられています。
これによって、キャリアからサブブランド、もしくはMVNOへの乗り換えが進み、現在と同じ容量で同様のパケット通信上限を確保できるようになるでしょう。
WiFiルーター各社が低容量プランをリリースしてきたのは、格安SIM×WiFiルーターでの通信費削減狙ってのことかとは思いますが…実は雲行きは怪しいです。
12月3日に発表されたドコモの新プラン「アハモ」を例にと比較して、現時点で月間20GB上限で最安のZEUSWiFi(月額1,980円)、IIJの従量制プランを組み合わせてみましょう。
IIJ従量制プラン | アハモ(ahamo) | |
基本使用料 | 2,010円 | 2,980円 |
ZEUSWiFi | 1,980円 | ー |
合計 | 3,990円 | 2,980円 |
格安SIMとZEUSWiFiを組み合わせても、ドコモの新プランには勝てないのです。
こうやってスマホ料金が下がってしまうと、データ単価も同じく下がってしまうため、モバイルWiFiルーター各社が低容量プランをリリースしたところで今のデータ単価のままでは新規顧客の開拓は難しいでしょう…。
2021年は低容量プランでのデータ単価引き下げがあれば、この組み合わせでも戦えるでしょう。
2021年のモバイルWiFiルーターの使われ方
仮にモバイルWiFiルーターの低容量プランのデータ単価がこれ以上下がらないのであれば、スマホとの2台持ちでは需要は見出しにくいでしょう。
そうなってくると考えられる利用方法は…
- 大容量プランとVODサービス(映画見放題など)を組み合わせてセット契約を行うよう提供元が工夫する
- 変わらず自宅に固定回線が引けない/引きたくない人へ向け
- どこでも大容量パケット通信を行いたい人向け
- キャリアからはまだ解禁されていない大容量テザリング通信の代わりに
- ノマドワーカーやテレワーク需要にビジネスニーズとして企業が契約する
といった感じでしょうか。
まとめ
月間20GB以上の通信を行う1割の方に売るよりは、他の9割の方に契約してもらう方が顧客間口が広がり、収益が出やすいためそちらに舵を切る可能性も高いですが…現在の携帯電話値下げの風潮では残念ながらその施策は逆風となりそうです。
2021年は2020年よりも強烈に携帯電話業界を中心として界隈が揺れ動くでしょう。
当サイトも取り残されないようにトレンドを追ってきます。