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NTTPC「マルチキャリアSIM」のトライアルサービスをスマートフォン端末で検証した結果と今後の展望

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当サイトは運営上の理由により更新を停止しております。
最新情報については反映されていない場合がございますので、詳細や最新情報については公式サイトをご参照くださいませ。

株式会社NTTPCコミュニケーションズ(以下:NTTPC、代表取締役社長:田中基夫、本社:東京都港区)は2020年9月16日にマルチキャリアSIMのトライアルサービスを開始しました。

マルチキャリアSIMとは、IoT機器に組み込むモバイル通信で複数の通信キャリアを利用できるサービスです。

マルチキャリアSIMサービスの現状での用途としては、IoT機器の定時通信におけるデータ送信の安定化を目的としており、シングルキャリアではエリアによって電波状況が不安定となり圏外となったり通信遮断されるリスクを軽減できるというメリットがあります。

当サイトでは「モノに対しての使用」用途ではなく、「ヒトに対しての使用」用途の可能性を探るべく、あえてIoT端末に対しての使用ではなく、スマートフォン端末でサービス検証を実施しました。

本記事ではその結果を報告いたします。

トライアルサービスとしてSIMカードを提供してくださったNTTPC様に関してはこの場を借りてお礼申し上げます。

<お断り>

本記事では提供元の意向を尊重し、通信キャリア名についての公表は致しません。

あらかじめご了承ください。

【お知らせ】2022年7月1日の改正電気事業通信法施行に伴い、掲載サービスの料金プランが大きく変更されている場合があります。随時修正を行なっておりますが、最新のプランについては公式サイトをご参照くださいますようお願いいたします。


 

マルチキャリアSIMの用途と概要

マルチキャリアSIMは

国内複数通信キャリアに対応し、利用場所において1枚のSIMで電波の強い通信キャリアを選択

引用:NTTPC

することで、シングルキャリアで生じてしまう電波遮断に対してのリスクヘッジが可能になるサービスです。

今後はNTTPCが提供する「Master’sONE IP-VPN」と直結し、セキュアなIoT向けモバイルサービスとして利用が可能になるとしています。(2020年12月提供予定)

引用:NTTPC

マルチキャリアSIMは執筆時点では海外150か国で利用可能となっています。

マルチキャリアSIMサービスはフランスの通信キャリアでNTT Ltd.グループの「Transatel(トランザテル)」のIoT Connectを利用しているとのことです。

日本国内でローミング接続し、1枚のSIMで複数の通信キャリアと接続できるとしています。

トランザテルは2018年12月にNTTコミュニケーションズ株式会社が株式の過半数を取得し、連結子会社となっています。

参考:フランスのMVNE/IoTモバイル通信事業者 Transatelの株式取得について

マルチキャリアSIMの主な利用用途

主な利用用途としては「モノと人をつなぐ通信」に対して想定されています。

<主な用途>

  1. 国内外でのIoT事業での利用
  2. 移動体からのデータ収集手段
  3. 海外でのデータ収集手段
  4. INSネット ディジタル通信モードの代替

国内外でのIoT事業での利用

あまりイメージが付きにくいかもしれませんが、無人の場所で絶えずデータを送信することが必要な機器は意外と多くあります。

例えばソーラパネルを使用した太陽光発電システムなどは、発電した電気量などのデータを絶えず無線送信しています。

シングルキャリアSIMでは仮に契約しているキャリアに通信障害が起こった場合にそのデータ送信ができなくなってしまいます。

マルチキャリアSIMサービスでは、通信障害発生時に別のキャリアに自動的に切り替えることができるため、通信遮断に対するリスクを減らすことが可能です。

移動体からのデータ収集手段

移動体=自動車や電車など、絶えず移動するものを指します。

無線電波通信によっては、移動するごとに接続する基地局も絶えず変化します。

キャリア各社の人口カバー率は99%以上となっていますが、一部地域では電波が弱いキャリアも存在します。

マルチキャリアSIMサービスを使うことで一部キャリアの電波が弱い場合によりつながりやすい電波に切り替えることで通信遮断を防ぐことができます。

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海外でのデータ収集手段

データを収集したい端末が海外にある場合、無線通信を行う際はその国のSIMカードを取得して通信を行う必要がありました。

その点においてマルチキャリアSIMでは海外150か国でローミングしていることから、国別にSIMカードを調達する手間が省けるメリットがあります。

INSネット ディジタル通信モードの代替

こちらに関しては当方も詳細を把握していないため、NTTPCサイトを引用いたします。

銀行ATM、企業ネットワークのバックアップとして広く利用されているNTT東日本/NTT西日本「INSネット ディジタル通信モード」が2024年1月に提供終了となります。その代替として設置場所の電波環境が変わっても継続して安定した通信を行うことができるマルチキャリアSIMをご利用になれます。

引用:NTTPC

スマートフォン端末でのマルチキャリアSIMの利用検証

前置きが長くなりましたが、「SIMカード」ですので、本来の用途とは異なりますがスマートフォン端末でも使用可能です。

SIMカードはSMS機能付き/機能なしの2種類を貸与いただきました。

マルチカットSIMとなっており、NanoSIMサイズに切り抜いてスマートフォン端末に挿入しました。

画像は楽天SIMとなっておりますが、このような形で問題なくスマートフォン端末に挿入が可能です。

機種はSIMフリースマートフォン「SHARP SH-M12」を使用しました。

APN設定に関しても特に何の問題もなく登録可能でした。

接続キャリアを占示すピクトアイコンには「Transatel(トランザテル)」が表示されます。

測定アプリ画面にも同様に表示されました。

検証方法

本検証の目的は下記の2点です。

  1. 問題なく通信が可能かどうか
  2. 自動でキャリアの切り替えが確認できるかどうか

検証は下記の方法を用いました。

検証条件
  • 使用端末:SH-M12(SIMフリー)
  • 計測時間:2020年10月1日13時~16時
  • 検証場所:新潟市中央区、西区
  • 検証アプリ:Network Cell Info

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<検証方法>

上記のような形でNetwork Cell Infoを起動させた状態で同乗者にネットワーク状態を確認してもらいながら新潟市内を移動。(※撮影の都合上運転席側からの撮影となっておりますが、助手席側に設置しました。)

マルチキャリアSIMの検証結果

結論から言うと、自動でのキャリア接続切り替えを確認することはできませんでした。

通信に関しては問題なく可能でした。

通信速度と電波状況に関して

通信に関しては全く問題なく電波をつかんでいることが確認できました。

通信速度に関しては、何度か測定した結果、概ね下り速度15.0Mbps、上り速度は8Mbps程度でした。

Png値に関しては、フランスにあるTransatel(トランザテル)からの国際ローミング通信ということもあって、180~200ms程度と遅延が目立ちました。(通常国内キャリアでは20ms~30ms程度)

キャリアの自動切り替えについて

残念ながら今回の検証実験ではキャリアの自動切り替えを確認することができました。

自動切り替えができなかったことに対する考察

NTTPCの説明では

国内複数通信キャリアに対応し、利用場所において1枚のSIMで電波の強い通信キャリアを選択

引用:NTTPC

されるとしています。

測定地域は新潟市中央区・西区であり、国内3キャリアの人口カバー率の非常に高いエリアとなっています。

よって、NTTPCが利用シーンとして想定していた(2)移動体からのデータ収集手段においては、電波条件が良すぎた可能性が考えらえます。

その結果として、キャリアの自動切り替えが起こらなかったと結論付けました。

山間部などの、特定のキャリアの電波が弱くなった状況であればあるいは切り替えが起こったのかもしれません。

NTTPCに対するマルチキャリアSIMのに関しての質問回答

担当者様のご厚意により、当サイトからの複数の質問に回答していただきました。

下記に掲載いたします。

Q1:マルチキャリアSIMは、uCloudlink社の「クラウドSIM」と同じ仕組みか?

<回答>

マルチキャリアSIMは、「クラウドSIM」とは仕組みが異なります。

クラウドSIMが”適切な”通信事業者を適宜見つけ、プロファイルやAPNを切り替えて通信を実現させる方法に対し、マルチキャリアSIMはフランスのTransatel社が契約する海外約150カ国の携帯通信事業者と国際ローミングする方法となります。

Q2:マルチキャリアSIMは、通常のスマートフォンでは使用できるか?

<回答>

海外ローミングが設定可能且つSIMロックがかかっていないスマートフォンであればご利用可能です。

また、SIMは、通常SIM/MicroSIM/NanoSIMと選択が可能な、マルチカットタイプでのご提供となります。

Q:3マルチキャリアSIMは、今後大容量通信に対応していく予定はあるか?

<回答>

弊社では、現時点で「モノ向け通信」用途を考えており、所謂「人向け通信」の大容量プランは検討中となります。

また、現時点で完全従量プランのみとなりますが、定額通信プランの創出は多数のお客様にご要望いただく事項となることを予想しております。

NTTPC|マルチキャリアSIMの今後に期待

以上、NTTPCが新規リリースしたマルチキャリアSIMのトライアルサービスの検証結果をお伝えしてきました。

残念ながら当方の測定環境ではマルチキャリアSIMの一番の特徴である「複数キャリアの切り替え」については確認することができませんでした。

一方で、NTTPCが提供するマルチキャリアSIMは今後の私たちの生活の利便性を大きく変化させる可能性を秘めていることを感じることができました。

「複数キャリアの切り替え」と聞いて一番先に思い浮かぶのは「クラウドSIM」でしょう。

クラウドSIMはSIMプールと呼ばれる機器に大量の物理SIMカードを挿入し、モバイルWiFi端末からサーバーにアクセスして仮想SIM情報をダウンロードすることで通信が可能となっています。

<SIMプール(クラウド上にあるサーバー)>

引用:グローカルネット

使用場所に最も最適な電波をつかむ=マルチキャリア対応という一方で、挿入されているSIMカードの割合によっては一部のキャリアのみに接続される可能性があります。

また、提供する通信各社はSIMプール内に挿入しているSIMカードの内容については非公開となっており、挿入しているSIMカードによっては通信が低速になる可能性もあります。

現在では大容量通信を提供する多くのレンタルWiFiルーターが「クラウドSIM」の仕組みを採用してきています。

当サイトではSIMプールがブラックボックスとなっている以上、実際の速度データを提供することで安心したサービスが選べるように努めていくつもりです。

クラウドSIMについての話が長くなってしまいましたが、方法は異なるにせよ、複数キャリアがSIMカード1枚で自動で切り替えできるというのは革新的な仕組みです。

エリアマップ上では各通信キャリアの人口カバー率は99%以上となっていますが、各社が採用している通信帯域(=Band)が異なるため、特に電波の回り込みが起こりにくい建物の中等ではマルチキャリアSIMの仕組みが役立つ可能性があります。

通信帯域についての補足
ネットワークおよび周波数(LTE)
docomo 必須:Band1/19
補足的:Band3(東名阪限定) /21/28/42
au 必須:Band1/18/26
補足的:Band11/28/41(WiMAX)/42
SoftBank 必須:Band1/3/8
補足的:Band11/28/41(ソフトバンクエアー)/42
楽天モバイル 必須:Band3(自社回線)/18・26(au回線)

赤字の電波は遮蔽物に弱い

参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000552764.pdf

現在では「モノ」をつなぐことを対象としてますが、今後「ヒトとヒト」をつなぐ可能性についても期待しても良いのではないでしょうか。

公式サイト:NTTPC

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河村
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GreenWaves著者情報

河村 亮介のアバター 河村 亮介 GreenWaves責任者/事業代表

スマートフォンの乗り換え案内と通信費用節約の専門家です。キャリア・格安スマホに関する知識をはじめ、モバイルWi-Fiルーターや固定回線など通信関連全般に精通しています。専門知識を活かし、UQ WiMAX公式メディアへの寄稿など、様々な媒体で回線系記事の執筆・監修を手がけます。WEBサイト運営事業GreenEchoes Studio代表。プロフィールは一番左のリンクマークからご覧頂けます。