自社サブブランドへの移行手数料を無料へ(KDDI・ソフトバンク)寡占へと逆戻りする日本の携帯市場
2020年12月9日、KDDIと沖縄セルラーは自社メインプランドである「au」と2020年10月からサブブランドとなった「UQモバイル」間の移行にかかる手数料の見直しを発表しました。
また、ソフトバンクについても同日プレスリリースを発表し、自社メインブランド「ソフトバンク」とサブブランドである「ワイモバイル」間の乗り換えにかかる手数料を無料とする方針を明らかにしました。
両者の「乗り換え手数料撤廃」の背景には、2020年12月4日の武田総務大臣の「国民を欺いている」発言を受けてのことと思われます。
KDDI、沖縄セルラーはauとUQモバイル間の乗り換えにかかる手数料撤廃を発表
現在、auとUQモバイル間の乗り換えには下記手数料が発生しています。
- 契約解除料(最大10,450円(税込))
- 番号移行手数料(3,300円(税込))※移行元で発生
- 新規契約事務手数料(3,300円(税込))※UQモバイルの場合はSIMパッケージ料金
合計:最大17,050円(税込)
※旧プランである「2年契約」では契約更新月を含む3ヶ月間以外の解約で違約金が発生していますが、「2年契約N」に変更の場合、「2年契約」加入年数に関わらず、契約解除料はかかりません。
参考:auホームページ
これを2021年2月以降、これら手数料を撤廃するとしています。
ただし、番号移行ではなく、新規手続きや解約の場合には手数料が発生します。
また、auとUQモバイルの間での以降に関して
料金プラン変更と同様のよりシンプルな手続きに変更します。詳細は別途ご案内します。
としており、料金プランを変更するような形での簡素な手続きで済むように簡略化するとしています。
適用時期に関しては2021年夏以降としています。
(Web・店頭共通)
- MNPにかかる手数料
- 契約解除料
- 移行先契約事務手数料
- SIMロック解除手続き(従来から不要)
- SIMロック解除手数料(従来から不要)
2021年夏以降:
- 移行先の契約手続きの撤廃(au⇔UQモバイル間のみ)
MNP|Mobile Number Portablityの略称。異なる携帯電話事業者へ移行する際に番号をそのまま乗り継ぐことを指します。
(以上、画像引用:KDDI報道資料)
ソフトバンク、ワイモバイル間の乗り換え時の手数料を変更
画像引用:ソフトバンクプレスリリース
現在ソフトバンクでは、2019年9月以降に発表した下記プランに関しては、契約期間を設けず違約金がない「新プラン」を提供しています。
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- ウルトラギガモンスター+(ソフトバンク)
- メリハリプラン(ソフトバンク)
- スマホベーシックプランS/M/R(ワイモバイル)
また、上記プラン以外については、定期契約であっても、2019年3月1日から違約金がかからない「契約更新期間」を契約満了月を含む3ヶ月としており、上記新プランへ移行する際の手数料については無料としています。
※現行としているのは記事掲載時のため。執筆時時点では拡大後が適用
現在、ソフトバンクでは旧契約プランのままソフトバンク、ワイモバイル間で乗り換えを行う際に下記手数料が発生してます。
- 契約解除料(10,450円(税込))
- 番号移行手数料(3,300円(税込))※移行元で発生
- 契約事務手数料(3,300円(税込))
合計:最大17,050円(税込)
これに関して、契約解除料は旧プランであっても無料、MNP手数料に関しても無料、契約事務手数料に関してはウェブで手続きを行った際に無料(店頭手続きは3,300円(税込))にするとしています。
この契約事務手数料の無料化に関してはソフトバンク・ワイモバイル以外の通信事業者に乗り換えた際でも無料です。
手数料の完全撤廃の時期は2021年春以降としています。
なお、MNP転出手数料に関しては自社ブランド間の移行だけでなく、他通信事業者への乗り換えに関しても無料としています。
ドコモの動向
ドコモに関しては、更新月以外での解約で違約金が発生する旧プランから、違約金が1,100円(税込)となった新プランへ移行する際でも「旧プランの更新月以外のプラン変更」については10,450円(税込)の違約金が「留保」され、ドコモを解約する際に旧プラン定期契約期間を引き継ぐことから違約金が発生する可能性があることついては執筆段階では変更されていないように思います。
参考:ドコモ新料金プラン(報道資料) 料金プランについての注意事項
新料金プラン「ahamo(アハモ)」に関しては、新規契約事務手数料、機種変更手数料、MNP転出手数料については無料としていますが、ドコモ旧プランからの移行についての手数料については明記されていないため、上記同様に旧プランからアハモへ移行する際には違約金最大10,450円(税込)が発生する可能性があります。
ドコモをご利用中のお客さまについては、MNPのお手続きは無しに、プラン変更で簡易にお手続きいただけます。ただし、システム対応に時間を要しており、システム対応が完了する5月までの間は、他社から乗り換えのお客さまと同等のお手続きを行っていただきますが、手数料や解約金のご負担はございません。
参考:ahamo発表報道資料
これについてはドコモ広報に確認中です。
→ドコモから回答があり、旧プランからahamoへプラン変更しても違約金はかからないとの回答が得られました。
まとめ|寡占へと逆戻りする日本の携帯市場
ようやく契約解除料についてよりシンプルになっていく見通しが立ちました。
両者が指す「旧プラン」のまま乗り換え手続きを行った場合、違約金として10,450円(税込)がかかるため、面倒でも乗り換える前に新プランへ移行する必要がありました。
それもすべて無料化するのは嬉しいですね。
しかし、上記はあくまでも自社ブランド間での乗り換えのみ適用されるため、他社へ乗り換えたい場合に関しては、面倒でも旧プランから新プランへ移行しないと契約更新月を含む3ヶ月間以外での解約では10,450円(税込)の違約金が発生します。
これでいよいよメインブランド→サブブランドへの強固な乗り換えの流れが完成しました。
この「完成」は日本の携帯電話市場が「キャリア3社の寡占へと逆戻り」することを意味しています。
回線を借用して通信速度もキャリアほどではない、料金はサブブランド並み、乗り換えには手数料がかかるMVNOに誰が乗り換えたいと思うのでしょうか?
総務省は今回も「トップの発言」により携帯電話市場を無暗にかき回した結果、MVNOが存続の危機に瀕するという最悪な状況へ向かっている気がしてなりません。
ユーザーにとっては嬉しいことですが、本来の総務省の狙いはそこではなかったはずです。