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Rakuten Mini(楽天ミニ)-出荷ロットによって特定の周波数が使えない「Band1問題」の本質

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楽天un-limitプランで世間を驚かせた第4のキャリア「楽天モバイルMNO」

そのプランに対抗すべく、KDDIに吸収統合され脱MVNO化=サブブランド化したUQモバイルやワイモバイルが「楽天潰し」ともとれる新料金プランを発表するなど、今、楽天モバイルを中心に携帯業界が賑わいを見せているます。

そんな中浮上した「楽天ミニの周波数問題」

既存の楽天モバイルユーザーやRakuten Miniを契約して楽天モバイルで使っているユーザーにとっては全く関係のない話です。

特にこれが問題で現在何か問題になることはありません。

本記事ではこの問題の本質に迫っていきます。

Rakuten Mini Red Dot Award受賞

ちなみに「Rakuten Mini」はなんだかんだありましたが、Red Dot Awardを受賞しました。(2021年6月)01 e1625823564202

Red Dot Award(レッド ドット アワード)とは、プロダクトデザイン先進国であるドイツのエッセンにある「Red Dot GmbH & Co. KG」が主催する国際的なデザイン賞です。

https://corp.mobile.rakuten.co.jp/blog/2021/0622_01/

  • 受賞に至ったポイントとしては
  • どんな生活にも溶け込むコンパクトなデザインや
  • 片手でも操作しやすいオリジナル設計のランチャー
  • 小さいボディに品質の良いカメラやFelicaを搭載した機能性の高さ

となっています。

eSIM専用機で且つおサイフケータイも搭載しており、サブで持つには非常に優秀な機種です。

正直、Band問題は楽天ユーザーにはあまり関係ありませんので。

Rakuten Miniは製造ロットによって、使える周波数=Bandが異なる

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引用:gifbanner?sid=3566696&pid=887108901楽天モバイル

要するに今回問題視されているのが、Rakuten Miniの端末が製造時期によって、対応Bandが異なるという点です。

このBandというのは、受信可能な電波帯域を示すものです。

各キャリアでは、共通して使用しているBandも存在しますが、異なる点もあるため、SIMフリースマホ等では国内のキャリアに対応できるようなBand構成で販売されていることがほとんどです。

裏を返せば、端末が特定のBandに対応していないということは、使いたいキャリアの電波が受信できない=通信ができないという事態になりかねません。

大手キャリア+楽天の対応Bandは以下の表の通りです。

<対応Band表>

バンド
(周波数)
ドコモ au ソフトバンク
(ワイモバイル)
楽天モバイル
Band1
2.0GHz
 
Band3
1.7GHz
Band8
800MHz
 
Band11
1.5GHz
 
Band18
800MHz
Band19
800MHz
Band21
1.5GHz
Band26
800MHz
     
Band28
700MHz
 
Band41
2.5GHz
 
Band42
2.5GHz
 

対応Band参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000552764.pdf

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このように、二重丸(◎)で示されているBandに対応していないとそのキャリアの通信が十分にできないことになります。

Rakuten Miniの対応Bandの違い

製造番号による対応Bandの違いは下記の通りです。

バンド
(周波数)
IMEI
351676110356708以前
IMEI
351676110356716〜351676110680487
IMEI
351676110680487
以降
注釈 初期ロット 中期ロット 現行
Band1
2.0GHz
×
Band3
1.7GHz
Band4
1.7GHz
× ×
Band5
800MHz
×
Band18/26
800MHz
Band19
800MHz
Band28
700MHz
Band38
2.6GHz
×
Band41
2.5GHz
WCDMA
BandⅠ
2.1GHz
×
WCDMA
BandⅣ
1.7GHz
× ×
WCDMA
BandⅤ
800MHz
×
WCDMA
BandⅥ
800MHz
WCDMA
BandXIX
800GHz

参考:Rakuten Mini詳細スペック(楽天モバイル公式)

対応Bandが違うと何か困るのか?

実際のところ、楽天モバイルを使っている分には何も困りません。

この問題は実は、純粋な楽天モバイルユーザーにとってはまったく関係ありません。

楽天モバイルの場合、自社回線はBand3、パートナー回線のauはBand18・26に対応していれば問題ありません。

現行ロットモデルはBand1に対応していないため、au回線に繋がりにくいですが、パートナー回線に接続する場合はプラチナバンド(遮蔽物があっても繋がりやすい)である18・26にしか繋がらない仕様のため、問題ありません。(要するにBand1にはもともと繋がらない)

ですので、Rakuten Miniで楽天モバイルを使っている場合は問題ありません。

このロットによって対応周波数が違うというのは「マニアックな」ユーザーの間でのみの関心事ととらえても差し支えないでしょう。

簡単に言うと、対応Bandが違うと「楽天モバイル以外で使えなくなる」ということです。

Band1が使えないRakutenMiniの本質的な問題とは

Canva Person Holding Iphone Beside Black Portable Speaker

このように、現行ロットと比べると以前のロットの方が使えるBand数が多かったことが分かります。

楽天ミニはeSIMを採用しているため、海外でも容易に使えるという利点があります。

そういったグローバルの視点で見ると、やはり対応Bandが少なくなるという点では不利になる可能性があるでしょう。

しかし、この問題の本質は国内キャリア事情に存在すると考えています。

Band1は大手3キャリアの必須対応Band

再度こちらの表を見てください。

バンド
(周波数)
ドコモ au ソフトバンク
(ワイモバイル)
楽天モバイル
Band1
2.0GHz
 
Band3
1.7GHz
Band8
800MHz
 
Band11
1.5GHz
 
Band18
800MHz
Band19
800MHz
Band21
1.5GHz
Band26
800MHz
     
Band28
700MHz
 
Band41
2.5GHz
 
Band42
2.5GHz
 

対応Band参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000552764.pdf

 

このようにBand1というのは、国内3キャリアの通信を行う上での必須Bandとなっています。

このBand1が使えないというのは、実質的に3キャリアでの利用に障害が生じる可能性を示唆しています。

また、現在の本国内においてeSIMをオンライン発行できるのはフルMVNOであるIIJのみです。

このIIJが発行するeSIMはドコモ回線を借用しています。

ドコモ回線についてはBand1を基軸として全国エリアを構築しているため、国内で楽天以外のeSIMが使えないということになります。

ここまで言えばお分かりかと思いますが、Band1を非対応にしたということは、Rakuten Miniは実質的に「楽天以外では使用できない」ということを表しています。

技適の問題については不明

加えて、Rakuten Miniは初期ロットで技適を通過しているため、技適通過の問題もあります。

通常であれば、技適は「国内の違法な電波を取り締まる」ことを目的としているため、「使えないと思っていた周波数帯が使えなかった」という事態を避けるために存在していると筆者は考えています。

これが、「使えるといっていたのに実は使えませんでした」というケースについては聞いたことがありません。

仮にこれで技適を通過しないことになったとしても、総務省電波利用ホームページによれば

質問6 技適マークが付いていない無線機はどうして使用できないのですか?

回答6 電波は多くの人が利用しており、現在の社会生活に欠かすことのできない重要なものですが、電波は有限希少ですので効率的に使って頂くために、使用するチャンネルや送信出力、無線機の技術基準など様々なルールが設けられています。

技適マークが付いていない無線機の多くは、これらのルールに従っていません。このような無線機を使用すると、知らずに他人の通信を妨害したり、ひいては社会生活に混乱を来すことに(きたすことに)なりかねません。

技適マークの付いていない無線機の購入・使用は十分ご注意下さい。

引用:総務省 電波利用ホームページ

と書いており、使用することについても、それを購入することについても「注意」としか書いてありません。

また、販売に関しても規制している文言は見られません。

実際に技適未認可の端末自体は国内で販売されるケースは多く見られます。

技適問題については専門家の意見を仰ぐ方が良いでしょう。

オークションにあふれるRakuten Mini端末…これに対応するため?

Rakuten Miniの定価は「税別1万9819円(発売時)」です。

2019年10月に施行された改正電気通信事業法で、端末の過度な値引き(2万円以上)が禁止されたことが記憶に新しいが、Rakuten Miniに関しては元々の本体価格が安くなっています。

そのため、2020年6月17日まで「Rakuten UN-LIMIT」に申し込み、独自端末「Rakuten Mini」を選ぶと、端末価格が1円になる「バラマキ」作戦を展開しており、この1円という価格に関しても、特に改正電気通信事業法違反にはなりません。

これに目を付けた一部の転売目的と思われるユーザーに購入されたためか、2020年6月11日現在、「Rakuten Mini」で検索すると、ヤフーオークションには627件、メルカリには132件ヒットします。

実際には楽天以外で購入した端末以外でも、同社SIMカードを挿して動く端末も存在するため、端末だけ売却すればその分が転売した人の利益になるでしょう。

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しかも、これが今後IIJ以外にも登場してくるであろうeSIMに対応していれば、自社端末で他社サービスが使われてしまう可能性が高いです。

これをBand1を塞いでしまえば…という風に考える方も少なくないのではなでしょうか。

いずれにしても、やはり技適通過後の端末の対応Bandを一方的に変えるということに関しては、法令違反にならずともユーザーの信頼を損なう可能性があるので、戻した方が良いでしょう。

ハードが問題であれば返品問題に発展しかねませんが、海外端末を日本向けに技適通過を通すためにソフトウェアで対応しているケースが多くあるため、おそらくはソフトウェアの更新で元通りに使えるようになるのではないでしょうか。

個人的には楽天モバイルは、正攻法で他キャリアと勝負し、価格競争を再度巻き起こすことで、寡占状態となった国内通信分野の良い意味でのカンフル剤になってほしいです。

これからも期待しています。

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GreenWaves著者情報

河村 亮介のアバター 河村 亮介 GreenWaves責任者/事業代表

スマートフォンの乗り換え案内と通信費用節約の専門家です。キャリア・格安スマホに関する知識をはじめ、モバイルWi-Fiルーターや固定回線など通信関連全般に精通しています。専門知識を活かし、UQ WiMAX公式メディアへの寄稿など、様々な媒体で回線系記事の執筆・監修を手がけます。WEBサイト運営事業GreenEchoes Studio代表。プロフィールは一番左のリンクマークからご覧頂けます。