楽天モバイルがニュースリリースで「ZERO宣言」を発表|課題となるのは「プラチナバンドがいつ割り当てらるか」
2020年11月4日、楽天モバイルはニュースリリースにて「ZERO宣言」を発表しました。
この発表に伴い10月12日より開始したSIM交換手数料、SIM再発行手数料の無料化に加えて、楽天モバイル契約事務手数料、MNP転出手数料の無料化が11月4日よりスタートしました。
この「ZERO宣言」、大変魅力的なように見えますが…その先に見えるのはソフトバンクが苦い経験をしてきた「プラチナバンド不在」による繋がりにくさとなると考えています。
本記事では楽天モバイルが発表した「ZERO宣言」と今後の楽天モバイルをめぐるユーザーの動向について考えていきます。
楽天モバイル「ZERO宣言」で無料化したもの
楽天モバイルはこのゼロ宣言で下記8つのゼロ=無料を宣言しました。
ZERO宣言で無料化したもの
- MNOプラン料金1年間
- 通話料(アプリ使用)
- 契約解除料
- 5G通信(オプションではなく標準)
- SIM交換手数料
- SIM再発行手数料
- MNP転出手数料
- 契約事務手数料
Rakuten UN-LIMITを継続的にアップグレードし「Rakuten UN-LIMIT V」を2.0へ
Rakuten UN-LIMITを継続的にアップグレードし、「Rakuten UN-LIMIT V」を2.0へと記載しましたが、ユーザーがこれといって変更するべきことはありません。
既存の「Rakuten UN-LIMIT」プラン(月額2,980円、自社エリアパケット無制限、ローミングエリア5GB/月、アプリ使用で24時間通話無料)に加えて、5G接続を標準とすることとなりました。
既存ユーザーは自動的に2020年9月30日に発表された「Rakuten UN-LIMIT V」プランへ移行し、5G対応端末を用いることで月額料金はそのままで5Gサービスを使用することができます。
ただし、楽天5Gエリアは執筆時時点ではごく限られており、その恩恵を受けるユーザーはわずかでしょう、
1年間料金無料については、300万人限定としています。
自動的に既存ユーザーが新プランへ移行することで「5Gプラン加入者」に関してはキャリア3社を超して1位となる可能性もあります。
楽天モバイルの通信エリアに関しては「すーちゃんモバイル比較」で詳しく紹介されているので参考にしてみてください!
Rakuten WiFi Pocketでサブ回線需要もカバー
楽天モバイルは昨今のドコモ新プラン発表、他キャリア2社も格安料金プランをリリースしてくる可能性が高まる中、「パケット無制限1年間無料、2,980円」の優位性に関しても下記に示す「auローミング終了」に伴う自社回線切り替えに伴う「繋がりにくさ」が影を落として、やや勢いを失いつつあります。
これを見越してか、条件を満たせばモバイルWiFiルーター端末が無料となる「Rakuten WiFi Pocket」を発表、「サブ回線需要」の取り込みに舵を切ってきました。
これに合わせて三木谷社長が頻繁に官僚とのミーティングを重ねているという報道からも、プラチナバンド獲得後には再度優位性を獲得できる可能性があります。
https://greenwaves.jp/rakuten-wifi-pocket-release/
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参考:楽天モバイル「大躍進」のウラに菅総理の影…三木谷社長の「本当の狙い」
KDDIが2021年3月末で東京でのauローミング終了を発表
懸案事項としてはやはり「通信品質」でしょう。
KDDIは現在楽天モバイルに貸与しているau回線=パートナー回線での通信を随時終了するとしており、2021年3月末で東京での提供を終了すると発表しました。
すでに10月22日で東京、大阪、奈良の一部地域で終了しています。
参考:KDDI、楽天モバイルへのローミングを「東京都・大阪府・奈良県」の一部で終了|ケータイWatch KDDI、東京都の楽天ローミングエリアを21年3月末で終了|ケータイWatch
楽天モバイルでは
2021年3月までに楽天モバイル自前の基地局での人口カバー率70%、2021年をめどに96%に近付けたいと考えている
としており、人口カバー率が規定に達すると順次auローミングを終了するとしています。
楽天モバイルだけでは現状プラチナバンド不在のため「つながりにくい」
楽天モバイルは現在自社通信が可能なエリアを拡大しています。
しかし、総務省の定めにより現在楽天モバイルが使用できる自社回線の帯域=Bandは「Band3=1.7GHz帯」のみとなっています。
一般的に電波は、周波数が高くなるにつれて直進性が増す傾向があり、遮蔽物の中では電波が届きにくい=つながりにくい傾向があります。
たとえ楽天モバイルの人口カバー率が劇的に拡大しても、建物の中では繋がりにくいという状況が起こってくる可能性があります。
楽天モバイルの発表会見に出席していたとみられる石野氏のTwitterではこの課題に対して質問した記者の楽天モバイル側の回答として
山田社長「私と三木谷が入った会議でフォローしている ローミングが理由でつながらなくなったお客様については、無料で使えるMVNOの端末をお渡ししたりして、ご迷惑がかからないようにしている 至急基地局を建てるなどの対策も行っている」 端末をお渡し???
— Junya ISHINO/石野純也 (@june_ya) November 4, 2020
と返答があったことを記しています。
これだけを見るとやはり「つながりにくくなる可能性」という認識はあるようです。
やはり対処療法でしか対応できないことに関しても理解している印象です。
楽天モバイルはソフトバンク初期の二の舞に?
この周波数問題は過去にもやはりありました。
「ソフトバンクモバイル」として携帯通信事業に参入した2006年以前の2004年に、孫氏は総務省に対してプラチナバンド(800MHz帯)の利用方針を巡って総務省を提訴しました。
参考:ソフトバンクBB、800MHz帯の利用方針を巡って総務省を提訴|ケータイWatch
その後6年の期間を経て、2012年7月に悲願だったプラチナバンドでの通信サービスを開始しました。
参考:ソフトバンクの「プラチナバンド」開始、スギちゃんがアピール|kケータイWatch
ソフトバンクに関しては
ソフトバンクは「エリアが狭い」「通信が切れやすい」といった苦情が多く寄せられ、同社の電波品質の悪さがサービスを解約する理由の1位としてあげられていた
引用:Wikipedia
と当時のプレゼンテーション資料(プラチナバンド認可記者会見プレゼンテーション資料 (PDF) の5ページ目を参照、現在は削除されている)で述べています。
当時提供されていた通信帯域は「Band3(1.7GHz帯)」と「Band11(1.5GHz帯)」でした。
楽天モバイルに関しては、「エリアが狭い」に関しては該当しないかもしれませんが、当時のソフトバンクと同様の「Band3(1.7GHz帯)」しかもっていないこともあり、「ソフトバンクつながりにくい問題」の再来となる可能性があります。
楽天モバイルは基地局を作ることで人口カバー率の向上を掲げている一方で衛星通信を利用し「エリアカバー率100%を目指す」としていますが、やはりこれも総務省が認可したBand3のみとなるため根本的な解決には至らないでしょう。
参考:楽天モバイル、衛星通信で全国エリア100%目指す――衛星通信の米ASTと業務資本提携
楽天モバイルのプラチナバンドはいつから開始されるのか?
こうなってくるとやはり楽天モバイルのプラチナバンド獲得は必須となってくるでしょう。
参考:楽天モバイル「大躍進」のウラに菅総理の影…三木谷社長の「本当の狙い」
こちらの記事では三木谷社長が頻繁に議員とミーティングを重ねていることを明らかにしています。
プラチナバンドについては、ドコモ・au・ソフトバンクと「あと1社」ということを菅政権が打ち出しているため、近日中に振り分けられる可能性はありそうです。
楽天モバイルの今後の課題はプラチナバンド整備か
以上、楽天モバイルが発表した「ZERO宣言」について、抱える電波帯域問題について解説してきました。
下記コンテンツでも触れましたが、auローミング終了に伴い行き場を失った楽天モバイル難民は、KDDIが設立したeSIM特化の新MVNO会社へ行くことが考えられます。
KDDIがeSIMに参戦を表明したことで、他MVNOやキャリアに関しての動きも注目されます。
やはり日本国内ではスマホユーザーの約7割がiPhoneユーザーということもあり、iPhoneX以降搭載されたeSIMのデータ通信枠を巡ってさらに競争が激化することでしょう。
ですが、これも楽天モバイルのプラチナバンド獲得の時期によっては覆る可能性もあります。
楽天モバイルに関しては現状の状況を踏まえて、モバイルWIFIルーターを条件をクリアすることで無料で提供、1年間データ通信を無料とすることで「サブ回線狙い」の路線へ方向転換してきています。
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