
画像引用:uCloudlink
最近になって「クラウドSIM」という新しい技術が話題です。
「どんなときもwifi」というサービスが草分け的となり、2019年は数多くの通信事業者がクラウドSIM採用wifiルーター事業に参戦してきました。
いったいクラウドSIMとは何か?
本記事で解説していきます。
目次(見たい項目をタップ)
クラウドSIMとは?その仕組みを解説

クラウドSIMは通常の通信システムとは違い、通信用の物理SIMカードが端末に挿入されていないことが特徴です。
代わりに「通信専用のSIMカード」が挿入されており、そのSIMカードを使って「アクセスサーバー」と呼ばれる、利用者の位置情報を集約しているシステムにアクセスします。
その情報を元にSIMプールと呼ばれる物理SIMカードが大量に挿入されたサーバーの一つのSIMカードを割り当て、その情報を通信端末にダウンロード・保持することで通信が可能となります。
この仕組みを「クラウドSIM」といいます。
そもそもSIMカードとは何か?
SIMカードとは、お使いの端末で契約した通信事業者の電波を借用するために必要な通信チップのことです。
通常のwifiルーターやスマートフォンにはこの「SIMカード」と呼ばれる通信チップが入っています。
この通信チップを使って、特定の通信回線で通信を行います。
- ドコモであればドコモ回線につながるSIMカード
- ソフトバンクであればソフトバンク回線につながるSIMカード
- 楽天モバイルであれば、ドコモから借用しているドコモ回線につながるSIMカード
- WiMAXであればUQモバイル回線/au回線がつながるSIMカード
- ポケットWIFIであればソフトバンク回線がつながるSIMカード
といった感じで「特定の契約した1社のみと通信できる」というのが従来型の通信システムです。
クラウドSIMなら日本でも海外でもどこでも使える
クラウドSIMはサーバー(PaaSプラットフォーム)上にあらゆる地域のSIMカード情報が入っているため、1社(=uCloudlink社)と契約すれば日本でも世界でもどこにいてもその場所で最も繋がりやすい回線を選択して通信できます。
世界中で25万人が同時接続できます。
本来はSIMカード内に入っている回線契約や固有番号情報がクラウドサーバー上に存在するというのが最大の特徴です。
下記がクラウドSIMサーバーです。
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引用:グローカルネット
uCloudlinkと販売代理店契約をした業者については、このクラウドSIMサーバーを自社で用意し、調達したSIMカードを挿入して使用しているものと考えられます。
SIMカードの調達方法に関しては、国内販売代理店ごとに異なるため、用意できるSIMカードによってサービス品質が大きく左右されます。
このクラウドサーバー上には一つの回線だけでなく、複数の回線の情報が入っています。
この情報を必要に応じて端末にダウンロードすることで、その場所に最も最適な回線を選んで通信することが出来ます。
そのため、日本だけでなく、どの国・どの地域に行ってもSIMカードを差し替えることなく通信ができるのです。
クラウドSIMとeSIMの違い
クラウドSIMと同時期に出たワードで「eSIM」というものがあります。
どちらもクラウドサーバー上のSIMカード情報を参照して通信できるということに関しては同様ですが、若干技術的な違いがあります。
- クラウドSIM:uCloudlink社の独自技術。この会社と契約するだけで複数回線を使用できる。回線の切り替えは自動で行われる。
- eSIM:GSMA(通信事業者の業界団体)が標準化した仕組み。自分で使いたい通信会社を選んで複数契約することが出来る。回線の切り替えは自分で行う。
uCloudlink社について

画像引用:uCloudlink
uCloudlink社は中国に本社を構えるグローバル企業です。
会社名 | uCloudlink Japan株式会社 |
所在地 | 〒 107-0062 東京都港区南青山2-26-37 VORT外苑前Ⅰ 6階 |
電話 | 03-4588-1711 |
メールアドレス | info-ucjapan@ucloudlink.com |
ホームページ | https://jp.ucloudlink.com/(日本支社) https://www.ucloudlink.com/(本社) |
設立 | 平成30年3月 |
資本金 | 100,000,000円(1億円) |
代表取締役 | 林霖 |
事業内容 | 1.Wi-Fi端末、携帯端末の製造や販売 2.Wi-Fi端末、携帯端末のソフトウェアの企画・開発及びコンサルティング業務 3.コンピューターシステム、プログラム、ウェブシステムの企画、開発、販売、運用及び保守に関する業務 |
会社は香港、深セン、日本、マレーシア、シンガポール、フランス、イギリス、アメリカあり、中国国内には20以上の支社があります。
世界140か国、200以上の通信事業者と提携

画像引用:uCloudlink
uCloudlink社は世界140か国以上で200以上もの通信キャリアと協力関係を築いています。
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後述しますが、クラウドSIMの仕組みを利用すれば、uCloudlinkの端末を1台契約するだけで、これら200以上のキャリアの中から最も繋がりやすい回線を選んで通信が可能となります。
とりわけ日本で言えばドコモ・au・ソフトバンクになりますね。
クラウドSIMのメリット

概要が分かったところでクラウドSIMのメリットについて解説していきます。
- 通信障害に強い
- カバーエリアが広い
- 海外でもそのまま通信可能
複数の回線を使えるため通信障害に強い
とりわけ日本国内ではクラウドSIMを採用しているwifiルーターでは、その地域によって
- ドコモ回線
- au回線
- ソフトバンク回線
の中から最も繋がりやすい回線を選んで通信を行います。
※GMOインターネット株式会社が提供するギガゴリWiFiワールドプランについては、ソフトバンク回線がメイン、繋がりにくい場合はドコモ・au回線に繋がる仕組みとの回答
GMOとくとくBBクラウドSIMを採用「ギガゴリWiFiワールドプラン」開始!どんなときもwifiとの明確な違いは?
また、海外では現地のSIMカードを購入することなく、そのまま現地の回線が使用できます。
例えばau回線の苦手とする地下鉄や建物の中での通信する場面では、遮蔽物に強いドコモやソフトバンクの回線を自動で選んでくれます。
仮にあなたがソフトバンク回線しか繋がらないポケットWIFIを使用していて、ソフトバンク回線全体がダウンしてしまったとしましょう。
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当然、あなたのポケットWi-Fiではまったく通信ができなくなります。
しかし、クラウドSIMwifiルーターでは、ソフトバンク回線が繋がらないとなったら他の繋がりやすい回線を選んで問題なく通信することが可能です。
このようにクラウドSIMの仕組みを利用しているwifiルーターでは、通信障害が生じた回線を避けて通信を続けることが可能なのです。
こういった点でクラウドSIM採用のwifiルーターは「通信障害に強い」といえるでしょう。
使えるエリアが広い
クラウドSIMは複数の回線を利用できるため、国内でも海外でも電波が入るエリアが非常に広いことが特徴です。
やはりキャリア3社もカバーエリアはさまざまで、人口密集地以外の山間部でドコモ回線が繋がりやすいなどいろいろあります。
その中から最も繋がりやすい電波を自動でつかんでくれるというのは大きなメリットです。
海外でもそのまま通信可能
クラウドSIMは使っている地域で最も繋がりやすい回線を選んで通信可能です。
uCloudlink社は世界140か国の通信サービスを提供する国のローカルサービスプロバイダと契約※を行っているため、契約地域であれば自動でその国に最も適した回線を選択してくれます。
※参照:GlocalMe –ローカルのようにグローバルに接続します!
クラウドSIMのデメリット
クラウドSIMにも当然デメリットが存在します。
- 海外での利用が制限される場合がある
- サービスの普及が完全ではない
- システム全体のエラーには対応できない
海外での利用が制限される場合がある
海外で通信を行う際に現地の法律等によって通信制限が適応される可能性があります。
サービスの普及が完全ではない
クラウドSIMのサービス自体は2017年に発表されました。
2019年になってどんなときもwifiがuCloudlink社の「GlocalMe U2s」という端末を使用し、uCloudlink社のサービスを受ける形でサービスを提供(=販売代理店)し始めてからは、他通信事業者も続々と参入してきています。
これからのサービス普及が期待されます。
サーバーダウン時には通信不可となる
クラウドSIM採用のwifiルーターも万能ではありません。
2019年8月31日~9月3日の間、クラウドサーバー上で通信障害が起こり、どんなときもwifiだけでなくクラウドSIMを使用する端末全体が通信しにくくなるという不具合が生じました。

原因は「予測していた通信量を超えた」とのことです。
これはどんなときもWiFiの運営方法に問題があったこととが後の総務省の調査によって発覚しています。

現在、パケット無制限でのサービスを提供している事業者は存在しませんので、サーバーダウンリスクは少ないでしょう。
uCloudlink社と国内クラウドSIMwifiルーター販売社の関係
気になるのが、どんなときもwifiなどのクラウドSIM採用のWiFiルーターを提供している通信事業者とuCloudlink社の関係です。
公式サイトではuCloudlink社のビジネスモデルは下記のように規定されています。
uCloudlinkの標準的なビジネスモデル
• 通信事業者
1) MNOやMVNOがuCloudlinkに対してSIMやデータを提供します。あるいは、uCloudlinkの代理店となります。2) MNO / MVNOは、uCloudlinkから製品とデータサービスを取得し、自らの顧客に再販します。 そのことで顧客のローミングサービス関連の問題を解決します。
• 旅行、観光関連の企業
旅行代理店(オンライン含む)、ホテル、その他の旅行関連企業は、uCloudlinkの製品とサービスを運用することにより、旅行者に付加価値のあるサービスを提供することができます。• GlocalMeの代理店および小売業者
オンラインストア、販売店舗、航空会社、空港の免税店などが主な代理店および小売業者ですが、その限りではありません。• ローミングデータサービスフランチャイズ/エージェント
Wi-Fiレンタルおよび国境を越えたモバイルネットサービスのビジネスを展開させるために、uCloudlinkの製品とサービスを導入します。• システムインテグレーター
製品とサービスを取得して独自のソリューションへ統合し、自らの顧客へと提供します。• 企業法人
uCloudlinkの製品とサービスを取得し、従業員や自らの顧客へ提供します。
uCloudlink社と国内通信事業者は「サービス提供会社」と「販売代理店」という関係になります。

画像引用:uCloudlink
要するに、uCloudlinkのプラットフォームを利用したサービスを販売代理店が一括でデータ購入を行い、ユーザーが販売代理店でGlocalMe端末を契約することで、代理店側が購入したデータ容量の中で「使い放題」というサービスを提供していました。
しかし、先のどんなときもWiFi行政指導を受けて、国内ではパケット無制限サービスは終了し、パケット上限ありのサービスへ移行しました。

まとめ

以上、クラウドSIM採用のwifiルーターは
- トリプルキャリア対応で繋がりやすい
- 通信障害にも強い
- 日本国内においてはソフトバンクに依存したサービス
ということが分かりました。
再販型ソフトバンクSIMカードの値上げに伴い、利益率の高いクラウドSIMの仕組みを採用する事業者はますます増えていくことでしょう。
最近ではしっかりと通信総量と物理SIMカード容量のコントロールを行って運用しているところがほとんどですので安心して利用できるでしょう。
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